インターネット詐欺リポート(2016年8月度)インターネット詐欺被害実態調査アンケート 10代の約13%が10万円以上の被害に
このリポートについて
BBソフトサービス(BBSS)の「Internet SagiWall™(インターネットサギウォール)」で検知したデータを基にした、2016年8月度のインターネット詐欺リポートです。
このリポートは、日本のインターネット利用者が直面するネット詐欺の脅威とネット詐欺に対する注意喚起を目的として、「Internet SagiWall™」が検出・収集した危険性の高い詐欺サイトの分析結果を報告するものです。
検知状況
総検知数は193万1,530件で、前月比2.7%減少しました。
インターネット詐欺の種類別構成比は、ワンクリック・不当請求詐欺サイトが80.00% (前月比0.61ポイント減)、フィッシング詐欺サイトが14.17%(前月比0.33ポイント増)、マルウエア感染サイトが1.10%(前月比0.07ポイント減)、ボーガスウエア配布サイトが3.40%(前月比0.36ポイント増)、ぜい弱性悪用サイトが1.33%(前月比0.01ポイント減)でした。
OSごとのネット詐欺種類検知率
インターネット詐欺被害実態調査アンケート
これまでにインターネット上で詐欺被害に遭ったことがある、あるいは遭いかけたことがある全国の10~60歳代の男女計180人を対象に、インターネット詐欺被害の実態についてアンケート調査を実施しました。
- 期間:
- 2016年9月5~7日
- 調査方法:
- インターネット調査
- 対象:
- 10代から60代までの各年代30人、計180人
調査結果の概要
- <詐欺の種類>71.7%がワンクリック詐欺に遭遇
- <被害金額>10代でも10万円以上の高額被害、約7割がスマホを利用
- <被害の要因>広告やメールなど犯罪者側からのアプローチが強化
- <詐欺被害時の行動>まずはメールで問い合わせ/何もしない理由は面倒さと後ろめたさ
- <被害後の変化>83.1%が何かしらの対応を実施/最多は不用意にリンクを開かない
詐欺被害で最も多いのは「ワンクリック詐欺」
被害に遭った、あるいは遭いそうになった詐欺の種類は、主に金銭の搾取を目的とした「ワンクリック詐欺」が圧倒的に多く、実に7割が経験していることが分かりました。次いでIDやパスワードなどの個人情報の搾取を目的とした、発信元を偽装したメール、SMS、ネット通販詐欺などです。他にもクレジットカードや電子マネー、端末のデータを人質に取るランサムウエア、ネットバンキングなど、犯罪者側の手法も多様化している実態が明らかになりました。
10代でも10万円以上の高額被害、約7割がスマホを利用
被害金額を年代別に調査したところ、10代でも高額の金銭被害があったことが分かりました。利用していた端末も約7割がスマートフォンとなっており、サイトの全体像を確認してから購入していなかったことも想定されます。また、学生などの未成年が高額商品を購入する際は両親に振り込みを頼む場合も多く、両親がサイトの確認を怠って詐欺に遭うという被害も報告されています。
被害に遭った主なきっかけは「不正な広告」
インターネット詐欺に遭った経緯は、「不正な広告」が31.7%と最も多い結果でした。その他にも「検索やリンクから自分で探してたどり着いたサイトだったから」、「送られてきたメールのリンクや添付ファイル」なども要因として挙げられます。どれも一見すると危険を感じることのない普通の広告やサイトやリンク先が、アクセスした結果が実は詐欺サイトだったことが多いようです。
悪意のある事業者が積極的にコストやリソースを割いて、DSPなどのネットワーク型広告やSEOに力を入れていることが明らかです。
電話よりもまずはメールで問い合わせ、第三者への相談は1桁台にとどまる
詐欺だと気付いた時の対応は「メールでサイトの運営者に問い合わせした」が最も多く、18.3%でした。次いで「運営会社の社名や記載住所を調べた」(11.7%)となりますが、「電話でサイトの運営者に問い合わせした」は9.4%と、メールと比べて約半分となっています。まずは詐欺を仕掛けた相手に対して自分でできることを行うことが主流で、第三者に相談するのは少数派のようです。しかし、特筆すべきは「問い合わせも相談もしない」が37.2%%と最も多く、被害を放置するユーザーが多いのが特徴です。
被害に遭っても何もしないのは"手間"と"後ろめたさ"
特に問い合わせもせず誰にも相談しなかった人に理由を尋ねたところ、約半数となる47.8%が「色々聞かれるのが面倒だった」と答えました。次いで多かったのが「家族や知人に知られたくなかった」が20.9%でした。被害に遭ったことで心配を掛けたくないという思いか、 どこか後ろめたさを感じるのか、いずれにしても、被害の解決よりも感情を優先させ、半ばあきらめていることがうかがえます。
リスクを経験すると自発的にさまざまな対応をしている
詐欺に遭ったことで、その後の行動にどんな変化があったのか聞いてみると、「(不用意に)メールのリンクをクリックしないようにする」が51.1%と、半分以上の方が回答しました。それ以外にも「手口を勉強する」(31.1%)、「決済の前に業者の情報を調べる」(22.8%)など、「特に何もしていない」人は16.1%にとどまり、被害に遭ったことで用心深くなり、思考に変化が起こって詐欺被害を未然に防ぐために何かしらの対策をしていることが分かりました。
総評
今回の調査では、インターネット詐欺の手口がどの程度一般消費者に身近になっているかという点についてフォーカスしました。注目すべき点は10代の金銭被害が大人と同様に発生し、被害金額10万円以上の件数が他の年代より多かったということです。パソコンの利用頻度の低い年代が被害に遭っている実態から、手口のスマホ最適化がより進んでいると考えられます。また中高生を対象とした情報モラル教育では、いじめ問題、不適切な投稿、性犯罪防止、スマホ利用ルール(フィルタリングや時間)などが中心で、インターネット詐欺のさまざまな手口の情報に触れられる機会が少ないという現状があります。このような背景から、社会経験や予備知識の少ない年代が犯罪者の標的になりやすくなっていると推測されます。
サイバー犯罪被害防止の本質は、常に最新の手口や被害の実態に基づいた情報を広く共有し、利用者のリテラシーを向上させることにあると考えられます。BBSSでは今回の調査結果をさらに精査するとともに、今後も引き続きサイバー犯罪手口の研究と自社サービスの向上に努めていきます。
過去リポート
「詐欺ウォール™ / Internet SagiWall ®」について(https://www.sagiwall.jp/)
「詐欺ウォール™ / Internet SagiWall ®」は、ウェブブラウザーでアクセスしたウェブサイトの"コンテンツを解析"し、悪意のあるコンテンツをリアルタイムで検出します。悪意のあるコンテンツを検出した場合、そのサイトへのアクセスを警告し、フィッシング詐欺やさまざまなインターネット詐欺の脅威からユーザーを守るセキュリティー対策ソフトウエアです。AI検知機能を組み込んだトリプルエンジンの検知力で、ウイルス対策ソフトウエアをすり抜けてきたブラウザー経由の脅威を検出し、日々進化する脅威に対応します。
インターネット詐欺とは?
インターネットを利用して行われる詐欺行為の総称で、他のウェブサイトを装い、個人情報をだまし取るフィッシング詐欺や、加入に同意していない有料会員登録の代金を請求するワンクリ詐欺(ワンクリック詐欺)、ネットショッピングで代金未払いや商品未発送により金品を不正に得る詐欺などがあります。これらはコンピューターウイルスを使わない場合も多く、一般的なセキュリティー対策ソフトでは検知することが困難な状況です。
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