ネット詐欺にもAI活用の波?海外の犯罪者が日本市場のリサーチにAIを活用する可能性
世の中に浸透し始めた生成AIは、ネット詐欺の犯罪者にとっても日本の市場を調査する有効なツールとなっています。
言語間の垣根がなく、マーケットを調べることができる生成AIは、日本の商習慣を調べてそれに合わせた手口を作成することも可能です。そこで今回は、海外の犯罪者がChatGPTを利用してどのようなことができるのかを調査しました。
目次
「日本で商品がたくさん売れる日」を聞いてみた
ChatGPTに日本での売上が多い日を聞いてみたところ、正月(1月)、バレンタインデー(2月)、ゴールデンウィーク(5月)、ブラックフライデー・サイバーマンデー(11月)、クリスマスシーズン(12月)などの動きのある日が挙げられました。日本人にとっては当たり前のことですが、市場を知らない外国人にとっては貴重な情報です。
実態のデータと比べると一部相関あり
日本の偽販売・違法販売サイトの構成比の割合(BBソフトサービス株式会社が収集)をみてみると、ChatGPTで返答のあった時期に偽販売・違法販売の比率が上昇している傾向が見えます。海外の犯罪者が日本人向けの詐欺サイトを作成する際に、この情報を参考にすることも可能そうです。またこの比率はボーナスシーズンにも上昇していますが、こちらは ChatGPTからは分かりませんでした。
(BBソフトサービス株式会社 2022年収集)
詐欺にひっかかりやすい人を聞いてみた
次に、ネット詐欺に引っかかりやすいターゲット層について聞いてみました。
回答の中には「高齢者」という具体的なものがありました。この情報を参考に、高齢者をターゲットにした偽販売サイトを作成することも可能でしょう。
ターゲットの「高齢者」がよく使うサイトを聞いてみた
「高齢者がよく使うサイト」を聞いてみると、厚生労働省、税務署、年金機構などのウェブサイトが具体的なものとして挙げられました。これらのサイトは現在多くのフィッシングサイトが作られています。ChatGPTから得られる情報は、ネット詐欺の実態とも合っているようです。
(BBソフトサービス株式会社 2022年11月~2023年3月収集)
翻訳も自動で行ってくれる
生成AI を利用すると、翻訳も自動で行うことができます。またDeepLといった翻訳サービスなどもあり、日本人が読んでも違和感のない文章で偽サイトやフィッシングメールを作成することができます。
日本人では常識でも海外の犯罪者にとっては貴重な情報
今回ChatGPTを使って得られた情報は、日本人にとっては当たり前の内容であるかもしれません。しかし日本に詳しくない海外のネット犯罪者にとっては非常に有益な情報になります。
海外を経由して行われることが多いネット詐欺は、外国人犯罪者が関わっている可能性も高く、このようなツールをつかえば労力をかけずに日本のネット詐欺事情やターゲットの情報を知ることができます。
今後はこのような生成AIが犯罪者によって活用され、より精度が高く日本人が引っかかりやすい詐欺サイトが大量に作成される可能性もあります。オンラインで購入する際は「本物っぽいから」とすぐに信用せず、確認や注意を忘れないようにしましょう。