文化祭や体育祭で大盛り上がり!でも個人情報流出には気を付けて【連載】大人が知らない子供達のネット事情 Vol.4 鈴木朋子/ITジャーナリスト
楽しかった夏休みが終わると、文化祭や体育祭、合唱コンクールなどの行事が行われる学校が多いですよね。親世代にも、まさに青春を感じる出来事がたくさんあった季節でしょう。
今の中高生たちにとっても、学校行事はかけがえのないイベントです。ただ、親世代と異なるのは、手にスマホを持っていること。「写真を撮りたい!」と思ったらすぐに手元のスマホで撮影できます。"盛れている"写真が撮れるまでスマホで確認しながら何枚でも撮影することができ、良い写真はSNSで友人たちにすぐ見せることができます。大切な思い出がSNSへすぐさま記録されていくわけです。
行事はSNS映えのチャンス
「プリキャンティーンズラボ byGMO」が2018年9月に行った「Instagramに関する調査」では、女子中高生の約8割が学校行事をInstagramに投稿しているとのこと。その内訳は、もっとも多い行事が「卒業式(83.6%)」、続いて「体育祭・運動会(80.6%)」、「修学旅行(79.7%)」、「文化祭(76.9%)」となっています。この調査はInstagramのみですが、LINEのタイムラインやTwitterでも同様に投稿されます。
プリキャンティーンズラボ byGMO
「Instagramに関する調査」を実施
~女子高生の約8割がInstagramアカウントを所有、 投稿経験のある女子高生の3割超が、毎日「ストーリーズ」に投稿さらに学校行事は約8割の子が投稿経験あり~
https://www.gmo.media/archives/2065/
卒業式はさておき、体育祭・運動会での投稿の多さに驚いた人もいるのではないでしょうか。イマドキの体育祭は、生徒がいくつかのブロックに分かれて点数を競い合うことが多いのですが、各ブロックのカラーに合わせた衣装を作って盛り上げます。みんなでお揃いのTシャツを業者に発注して作ったり、応援合戦のダンスの衣装を布から作成したりと当日まで大変な苦労をして揃えています。髪の毛をその日だけブロックのカラーに染めることを許可する学校もあります。赤い髪や青い髪にラメを付けて、かなり派手なヘアスタイルです。男子も女子も、頭の先から靴紐まで、当日だけの仮装をして体育祭に挑むのです。
実際に、Instagramで検索してみると、「#体育祭」というハッシュタグが付いた投稿は執筆時点で62.7万件。Instagramにはハッシュタグ(#)という機能があり、ハッシュタグとキーワードを付けることで検索が簡単になり、箇条書きのように羅列することで文章の代わりにもなります。Instagramのアカウントをお持ちの方はぜひ見てみてください。仮装をした楽しそうな風景がたくさん検索されますよ。
ある女子高生は、体育祭のあとは必ずプリクラに寄ると言っていました。何日もかけて準備した仮装です。スマホのカメラだけでなく、プリクラで全身を写した画像も残しておきたいわけです。カメラアプリが進化して、実物よりもかわいく撮れるようになっていますが、「特別なときはプリクラで残しておきたい」のだそうです。
写真を渡すためにアカウント交換
女子中高生にとっては、スポーツを頑張るというよりも写真を撮りまくる一日なので、ここぞとばかりに憧れの人にも声を掛けて写真を撮ります。ツーショット写真も狙いではあるのですが、本当の目的はそれを口実にSNSのアカウントを交換することです。
中高生たちは、知り合いになると、あまりプライベートに踏み込まないInstagramやTwitterから繋がります。そして、DM(ダイレクトメッセージ)で交流し、親交が深まったところでLINEのアカウントを交換します。
ところが、体育祭などの行事のあとは、このステップがなくなります。「俺と写真を撮った人はLINEに送って」と、自らのLINEのアカウントをSNSに投稿する人が多いのです。LINEのアカウントは、QRコードにして交換できます。QRコードの画像を投稿すれば、それを読み取った人が誰でも繋がれるようになります。
憧れの人と写真を撮れば、自然な形で相手のLINEアカウントと繋がり、写真の話題で仲良くなれます。今は告白もLINEで行う時代です。LINEさえゲットすれば、通話も無料なので長電話だってできるようになります。
QRコードの公開は褒められたものではないですが、男子の方が気軽に公開しているようです。もし公開して、アカウントが流出してしまったときのために、LINEは「QRコードを更新」する機能を用意しています。もしお子さんがLINEのQRコードを公開していることがわかったら、更新するように声を掛けてあげてください。「知らない人が友だち追加してきてもブロックすればいい」と考える中高生は多いのですが、ブロックしてもプロフィール画像やホーム画像は見られ続けることになります。個人情報がわかるような画像を設定すると、実際の生活に危険が及ぶかもしれません。
LINEの「設定」から「プロフィール」を開き、「マイQRコード」をタップします。右上のメニューボタンをタップして、「QRコードを更新」をタップすると、アカウント情報が更新されます。
LINEアカウント以外の個人情報をSNSに投稿しやすいのもこの時期です。制服や校舎の写真、行事の日程から個人を特定されることもあります。せっかくの楽しいイベントなので、投稿を禁止するのはかわいそうですが、公開範囲を限定できるSNSに投稿するなど自衛することも大切ですね。
様々なSNSを駆使している中高生は、自信を持っているからこそ、危ない橋を渡っていることがあります。事件が起きる可能性は少ないとはいえ、なるべく安全に、そして楽しい学校生活が送れるように、親も見守っていきたいですね。