LINEの「ステメ」でコミュニケーションする子どもたち【連載】大人が知らない子供達のネット事情 Vol.3 鈴木朋子/ITジャーナリスト
皆さんはお子さんのLINEアカウントと繋がっていますか?今やLINEはスマホの連絡ツールの代表格。「塾や習い事のお迎えはLINEで連絡」、「家族のグループLINEを作っている」といったご家庭も多いと思います。では、お子さんのLINEプロフィールをご覧になったことはあるでしょうか。
子どもたちはLINEのプロフィールで自分をアピールしたり、コミュニケーションを取ったりしています。LINE株式会社が8月13日に発表した「LINEプロフィール画面に関する意識調査」では、「プロフィール画面の内容を変更する頻度」は「月1回(33%)」、「年数回(25%)」、「週1回以上(24%)」と結果が出たとのこと。大人はLINEに登録するときに登録したプロフィールをそのままにしているケースが多いと思いますが、中高生はプロフィールを頻繁に変えています。このアンケートは「10代以上の男女」が対象なので数字がばらけていますが、特にLINEのステータスメッセージは毎日、いえ、日に何度も書き換える中高生が多いのです。
"ステメ"でコミュニケーションする子どもたち
「ステータスメッセージって?」と思った人もいるでしょう。 以前は「ひとこと」という名称だった、プロフィールの下に文章を添えられる機能です。「ダイエット中です!」「機種変更しました」など、今の状況を記入することができる場所なのですが、特に何も記入していない人がほとんどでしょう。しかし、中高生はまるでSNSへの投稿のように文章を記入します。
- いつも変わらないって大事
- 美咲LOVE
- 次はDisney!
- 今日の部活まじやばかった
- 文句言いたいなら言えばいいのに
- 裏の顔ばれてるんだよ
- 今日話せて嬉しかった
上記は中学生女子によくあるステータスメッセージを再現してみたものですが、実際には改行がいくつも入り、かなりスクロールしないと最後まで読むことができません。ステータスメッセージには500文字まで記入することができるので、今の思いを箇条書きのように数多く詰め込みます。
ステータスメッセージ、略してステメには、本音を書く子が多いのも特徴です。学校生活でのストレスや恋心など、普段言えないことやLINEのタイムラインに書くほどではないことを記入します。長文を書いた場合、表示ボタンをタップすると全文が開く仕様だからでしょうか、こっそりつぶやいている気持ちでオープンになるのかもしれません。
意外な場所に『#悪口』
とはいえ、ステータスメッセージを更新すると、プロフィール画像のアイコンに緑のマークが付くこともあり、中高生は常に友人のステメを見ています。誰かが「あいつむかつく」と書けば、心当たりのある子が「言いたいことあるなら言えよ」と応戦し、そのやりとりを仲間が見守り続けるといった出来事もよく起こります。ステメの場合は、誰かに直接言っているわけではなく、また誰に宛てたメッセージなのかも明言しないので、直接的なもめ事にはならず、全員がモヤモヤする状況になります。そのまま仲直りすればいいのですが、翌日学校でもその続きとなり、お互いに無視するなどトラブルに発展することもあります。
もし、お子さんの様子がいつもと違うとか、友人と何かあったのかなと感じたときは、真っ先にステータスメッセージを見てください。何かヒントになる書き込みがあるかもしれません。ステータスメッセージは公開範囲を指定できないため誰でも見ることができますが、お子さんに「ステメ見た」と直接言うと角が立つこともあるかもしれませんので、さりげない話しかけができるといいですね。
ペア画やペアコメで仲良しをアピールする子も
ステータスメッセージの暗い面をお話ししましたが、明るい活用ももちろんされています。夏休みには、中学生の部活で大会が目白押しになります。「明日は全力で練習の結果を発揮する」といった決意表明、「○○ちゃん、県大会ベスト8、おめでとう!」といったお祝いなどであふれます。部活全員で同じ文章を入れて団結心をアピールすることもあります。
また、プロフィール画像やホーム画像を揃える「ペア画」もよく行われます。部活の中でプロフィール画像を取り替え合ったり、名前を変えたりして、誰が誰だかわからなくなってしまいこともあるのですが、期間限定の遊びとして楽しまれています。こうした遊びは男子に多く見られます。
ペア画はカップル同士でも行われます。プロフィール画像がある日突然似たようなイラストや写真になるので、周囲から見ると「この二人付き合っている」とすぐにわかります。大胆な子はホーム画像に二人のプリクラやデートで撮影した自撮りを載せます。また、ステータスメッセージの最後に同じ文章を入れるなど、コメントを揃える「ペアコメ」をする子たちも多いです。こちらも「わかる人にはわかる」感じになるので、恥ずかしがり屋の中学生にはよく使われる手法です。
中高生に人気の画像検索アプリ「プリ画像」には
ペア画に使える画像がたくさん掲載されている
また、プロフィールにはLINE MUSICを使ってBGMを設定する機能があります。ここでももちろん自分を表現します。純粋に好きなアーティストの音楽を設定している人もいれば、好きな人への思いを伝えるためにラブソングを設定する人もいます。
LINEのプロフィール画面はより自分らしさを表現する場にリニューアル(右)される
LINEといえばメッセージ交換、またはタイムラインへの投稿というイメージですが、中高生はプロフィールも交流の場として使っています。そんなユーザーのニーズを受け、LINEはプロフィール画面をリニューアルすることになりました。原稿執筆時点ではまだ実装されていませんが、ホーム画像が縦型で大きく表示されるようになり、ステータスメッセージも見やすくなります。LINEに登録したままプロフィールを変更していない方も、これを機に変えてみてはいかがでしょうか。きっとお子さんは気づいてくれるので、新たなコミュニケーションが生まれるかもしれません。