Vol.1 「これって煽られている?」について考えてみよう親子対話に使える!ネットとスマホの安全の話

特集記事

BBSSでセキュリティ関係の啓発活動をやっております山本です。

セキュリティってとっつきにくいですよね。
サイバーとか、ハッカーとか言われたって、なんだか映画やアニメの世界の出来事のようですし。 詳しい人が専門用語つかって語りだすと、頭と耳が華麗にスルーしちゃいませんか?

今回から連載するお話は、けしてそんなモノではありませんので、ご安心ください。
そして、保護者の皆さんが、お子さんと話題にしたくなる!そんなエッセンスをちりばめながら進めてまいります。

さて、記念すべき最初のテーマは「ネットの煽り」についてです。

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情報リテラシーってなんぞや?

ところでみなさん「メディア(情報)リテラシー」って言葉ご存知ですか? 10年前の教育カリキュラム(学習指導要領)大改定の際も「メディアリテラシー」という言葉で取り入れられています。

参考:総務省|教育情報化の推進|ICTメディアリテラシーの育成
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/media_literacy.html

誰も教えてくれない「情報を見抜くチカラ」

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ICTメディアリテラシー教育は、IT機器を使って「情報を調べて、自分なりに加工してまとめる」といったところが中心になっています。クリエイティビティやプレゼンテーション力を高める方向ですね。

でも、ご存知のように、ネットの情報なんて、嘘もとっても多いじゃないですか? 嘘の情報を鵜呑みにして、勉強や発表などすると目も当てられません。

最近は、大手の新聞社の記事でさえ、情報の正しさ、正確さなんかより、いかに注目されるかが重視されているように思えます。

ネットの世界には日常的に人を煽る行為が溢れかえっています。
情報の作り手、送り手は、どんなポイントをついて人を煽って行動させているのでしょう?

ネットニュースの中で、自分がよく見るカテゴリーを思い出してみてください。芸能ですか?スポーツですか?グラビアですか? ついついクリックしたくなる表現を考えて見ると何となくイメージが湧いてきますよね。

ここで、ひとつのキャッチーな見出しの例を挙げます。

「グラドル稲村、始球式でノーバン」

これ、自分が男性としていつも悔しい思いをするやつです。思わず空目してしまいます。
そんなに「ノーパン」が好きなわけではないです。 きっと中身をみるより、隠された状態の方がそそる人の方が多いと思います。(知らんけど)

しかし、わかっているのに、男性の本能(センサー)が自動的に働いて反応してしまいます。本能の制御というのは本当に難しいものです。

このような人間の欲求を利用したコンテンツには、わかっていても目が行ってしまうもの。
「激安」 「お得」 「無料」 「レアアイテム」 「儲かる」 「裏情報」 「誰も知らない真実」 「お宝映像」 「限界ギリギリショット」 そして ・・・ ノーバン。(またそれか!)

ネガティブ感情を揺さぶる煽りとは?

冗談はこれくらいにして、真面目なハナシに戻りましょう。
ここまでは、見たい、欲しいといった欲求を煽るものでしたが、これとは別に、「怒り」「非難」などのネガティブな感情を揺さぶる煽りもあります。

具体例を挙げると、芸能人の皆さんがさんざんな目にあっているアレです、「不倫」!
政治家の不適切発言、セクハラ、パワハラ、差別など、最近もいろいろありますよね。 「それは絶対許せない!」「ひとこと言いたい!」という感情を引き出す煽りです。

このような、煽り行為の背景には、情報の送り手の意図が必ずあります。

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Webメディアであれば、どれだけクリックされるかが、メディアの広告枠の価値を決めますし、それが会社の収入に結びつきます。 TVのワイドショー、ニュース番組でも、災害で困った人たちを助けようとか、一時的に流しても、すぐに不倫や不適切発言のニュースにかき消されてしまうのは、それだけ人々の感情を揺さぶり、視聴率が稼ぎやすいからなのでしょう。

最近、社会問題になっている、他国や民族に関するヘイト投稿、確かな情報も無く想像で書かれた記事が一人歩きして大炎上する「フェイクニュース」なんていうのもこれにあたります。 炎上目的の悪意に加担させられたり、メディアのお金儲けのために怒らされているのってカッコ悪いですよね。

本当に怖いのは、犯罪行為に導く煽り

そんな煽りも、商業的な目的があってされているなら、まだマシです。
怖いのはネット犯罪者たちも、反応を得やすいという理由から同じ手法を用いていることなんです。 人間の本能≒欲求という抑えがたい性質を利用することで、騙しの最初のステップを踏み出させるのです。

心当たりありますよね。
「無料動画」の向こうには・・・ワンクリック詐欺などの不当請求
「激安、いまだけの限定品」の向こうには・・・偽通販サイト
「1日たったこれだけで稼げる高収入バイト」の向こうには・・・初回登録料としてお金を騙し取る業者

そう、ネットの犯罪グループや悪徳業者も全く同じ手法を取っているのです。

感情を揺さぶられたら、一旦ストップ!

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見出し文章やサムネイル画像を見て、クリックしたい衝動を覚えたら、一回深呼吸しましょう。 そして第三者の視点で、本能や感情を揺さぶられ、煽られている自分の存在を眺めてみましょう。

そうすれば、踊らされている自分にあきれを感じ、見失いかけた自分を取り戻すことができる・・・かも知れません。 煽られている自分に気づく、これも非常に大切な情報リテラシーの一部です。

子供の教育とは少し離れた話になりましたが、子供と対話する大人がネット上の情報について、ただ怒ったり感動しているだけでは、子供に対して "受け手としての情報リテラシー"を教えることはできません。

最近の中高生の情報収集は、Twitterや投稿まとめサイトなどの編集者がいないメディアが中心です。若者は若者なりに、嘘や危険な情報、アダルトなどの大人向けのコンテンツとうまく距離感を持って付き合っているようですが、このようなフィクションかノンフィクションかを嗅ぎ分ける感性や確認する方法を身に着け、それらのいい加減な情報に突っ込みを入れて楽しむぐらいの余裕をもって欲しいと思うのです。

こんな親子の対話もありじゃない?

何もICTメディアリテラシーなどの、教育プログラムを知らなくても、私たち大人が、子供の情報リテラシーを育むこともできると思うのです。
私ごとですが、小学生の娘に正解の無いいろんな投げかけをして会話を楽しんでいます。

「この話しは作り話かな?作文上手だよね」

「この儲かるって話ほんとだと思う?」

「あー!この新しい武器、絶対におもちゃになって出てくる。買わせようとしているぜー!」

「おいしそうなものばっか投稿する人って、うらやましいって言われたいのかな?」

「あの怒って投稿している人、なにか気に入らないことあったのかな?おなか空いていただけかもよ。」

こんな会話を、子供としてみると、面白いと思いませんか?そして、賢い生き方のできる大人になってくれたらよいなと思っています。

BBSSでは、フィッシング協議会の「STOP.THINK.CONNECT.」(立ち止まる、考える、楽しむ)という標語で、ネットの安全習慣のための標語を広める活動にも参加しています。ぜひご覧になってみてください!

STOP.THINK.CONNECT.日本語サイト
URL:https://stopthinkconnect.jp/
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次回は、詐欺師の騙しの仕組みについてのお話です。

BBSSオンラインセキュリティラボ
シニアエバンジェリスト 山本和輝